◆ プロローグ ――「コンサルタント」って、なんだ?
みなさんは「建設コンサルタント」と聞いて、どんな仕事を思い浮かべますか?
「建築設計?」「土木工事?」
実はそのどちらでもありません。建設コンサルタントとは「道路や橋、下水道などのインフラをどう作るかを考える人たち」。街の課題を見つけ、最適な作戦を練る——いわば、街の参謀です。
RPGの世界に例えるなら、こんな感じ。
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行政(自治体)=王様 … 「街を守れ」と命を下す存在
ゼネコン =戦士 … 実際に現場で“工事”という戦いに挑む者
建設コンサル =参謀(賢者) … 戦略を立て、勝てる作戦を授ける者
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戦士がどんなに強くても、参謀の作戦がなければ街は守れない。
そこで建設コンサルタントでの仕事の流れの一例をRPG風に紹介していきます。
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これは、埼玉県にある設計コンサルタント会社「シーエスエンジニアズ」でのお話です。
ある日、若手技術者教育用に開発された体験型ゲーム「シーエスクエスト」が支給されました。
「さて、この前支給された建設コンサルタント体験ゲームをやってみようかな…」
「おぉ、すごい、臨場感のある設計業務の体験ができるぞ!」
そしてバーチャル世界での設計業務体験へ誘われていくのであった…………
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ある日、街が水に沈む——
そんな未来を防ぐため、見えない場所で戦う人たちがいた。
これは、設計歴3年目の若手技術者が“街を守る技術者”として成長していく物語。
3人が所属するのは、埼玉県さいたま市に拠点を構える建設コンサルタント、株式会社シーエスエンジニアズ。下水道を中心に、街のインフラを30年以上支え続けてきた「街の参謀集団」である。
◆ 事件の発端 ――「街が、水に沈む」
ある夏の夕方。さいたま市内のある住宅街に、激しい雨が降っていた。
道路はみるみる冠水し、水位は50センチに。
家から一歩も出られなくなった住民から、役所へ次々と陳情が入る。
家から一歩も出られなくなった住民から、役所へ次々と陳情が入る。
「家の前の道路が川みたいになってるんです!」
「お風呂の水が逆流してきて……どうにかしてください!」
役所は、信頼するコンサルタント——シーエスエンジニアズに検討業務を発注した。
担当は、入社3年目の若き設計者・ダイスケ。
担当は、入社3年目の若き設計者・ダイスケ。
ダイスケ:「雨の日でも、安心して暮らせる街に……。よし、必ず解決してみせる!」
こうして、ダイスケの"浸水解消クエスト"が幕を開けた。
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■クエスト①「現場を調査せよ!」
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ミッション:浸水エリアの状況を把握し、敵(原因)の正体を探れ
ダイスケはまず現地の図面や資料を手に入れた!
そして、机の上で図面とにらめっこしていたダイスケに、課長が声をかけた。
課長:「ダイスケ、その図面を眺めていたら解決策が見えてくると思うかい?」
ダイスケ:「えっ……どういうことですか?」
課長:「ダイスケ、答えは机の上にはない。いつも"現場"にあるんだよ」
そう。図面はあくまで参考。現地を見て初めて分かることがたくさんあるのがこの仕事なのだ。
ハッとしたダイスケは、課長と共に現場へと向かった。
持ち物は、コンベックス(測量用メジャー)、カメラ、そして測量機器。
持ち物は、コンベックス(測量用メジャー)、カメラ、そして測量機器。
【現場で確認したこと】
・浸水していた場所の「高さ」を測る
・周辺の水路の高さを測り、どちらが高いか比較する
・マンホールを開けて、中の管の傾き(勾配)を確認する
・地下に埋まる他のインフラ(水道・ガス・通信)の位置を確認する
・地下に埋まる他のインフラ(水道・ガス・通信)の位置を確認する
(測量機器をセットし、二人で測定。データを記録していく)
ダイスケ:「……たくさんデータが取れましたね。これ、持ち帰ってじっくり整理しないと」
課長:「そうだな。それと、見てみろ、この狭さ。家と家の間が1メートルくらいしかない。もし管を新しくしようとしても、重機が入らなさそうだ」
ダイスケ:「あ……たしかに。"工事ができるか"も、設計者が見るべきポイントなんですね」
課長:「その通りだ。こういう現場に来ないと分からない情報もあるから、しっかり写真に残しておこう」
【クエスト①の学び】 設計の第一歩は「現場で、自分の目で確かめる」こと。図面はあくまで「過去の記録」。 今そこで何が起きているかは、現場に行かないと分からない。 プロは高さ・流れ・周辺環境を読み取る目を持っている。
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■クエスト②「原因を突き止めよ!」
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ミッション:なぜ水が溢れるのか、その謎を解明せよ
現場から戻ったダイスケは、現場の情報に加え、集めた資料と図面をひろげて、ひとり考え込んだ。
そこへ、シズカ先輩が後ろから声をかけた。
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【浸水を引き起こす“四天王”】
■ 管の容量不足:昔の基準で作られた管が、今の排水量に対応できていない
■ 勾配の異常:地盤沈下などで、管が逆勾配になっている
■ 都市化の影響:アスファルトや住宅で地面が水を吸わなくなった
■ ゴミ詰まり:側溝の網にゴミが詰まり、水の通り道がふさがれる
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シズカ先輩:「さて、今回の敵は誰だと思う? 現場のデータと、過去の図面を照らし合わせてみよう」
ダイスケは過去の図面と、現場で測ったデータを照らし合わせた。
ダイスケ:「あっ……! この団地、昔の計画のままだ。今は住宅が増えて排水量も増えてるのに、管の太さが追いついてない! 敵は"管の能力不足"です!」
シズカ先輩:「正解。でもね、ダイスケくん。敵は一人だけじゃない場合もあるんだよ」
ダイスケ:「……あ! 昔は田んぼや畑だったところが、今は全部住宅地。雨水を吸う土がなくなって、行き場をなくした水が一気に管に押し寄せている。"都市化の影響"も、今回の敵ですね!」
シズカ先輩:「そういうこと。"昔は問題なかった"けど、"今は問題が起きてる"——その変化の理由を見抜けるかが、設計者の腕の見せどころなんだよ」
クエスト②の学び 問題の原因は、ひとつじゃないこともある。 「今」と「昔」の違いを読み解き、複数の要因を丁寧に整理する力が必要。 探偵のように証拠(データ)を集め、仮説を立て、現場で検証する——それが設計の面白さだ。
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■クエスト③「最適解を導け!」
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ミッション:設計案の作成
シズカ先輩と一緒に、ダイスケはホワイトボードに、今回の敵(原因)を倒す(解決する)ための案を書き出していった。
案1 新しい水路を別に作って水のルートを分ける
案2 調整池を作ってあふれる前に水を溜める
案3 ポンプを設置して圧力で水を流す
シズカ先輩:「設計の現場にはね、"絶対の正解"なんてものはないんだよ。いろんな条件を天秤にかけながら、
その現場に一番合う"最適解"を作り上げていく。学校のテストみたいに、答えが一つに決まってる仕事じゃない。自分の頭で考えて、自分の手で答えを作る仕事なんだよ」
ダイスケ:「自分で、答えを作る……」
ダイスケはホワイトボードに向き直り、一つひとつの案を地形や予算と照らし合わせながら、丁寧に検討していった。
ダイスケ:「案1の水路新設は、現場のあのスペースだと難しいかもしれない……。案2の調整池は、そもそも作れるだけの土地が周辺になさそうだ……。案3のポンプは、設置はできるけど工事費が跳ね上がりすぎる……」
ダイスケは、ペンを置いて、長いため息をついた。
ダイスケ:「どの案も、一発で街を救えるような解決策じゃない……」
——その時、ふと、現場で見た光景が頭をよぎった。
水が溜まっていた場所、流れていなかった水路、そして街の地形。
ダイスケ:「……あれ? 一発で解決しようとするから、無理があるんじゃないか?」
ダイスケは、もう一度ホワイトボードに向き直った。
ダイスケ:「水を"受け止める工夫"と、"逃がす工夫"——。この2つを組み合わせれば、街を守れるかもしれない!」
シズカ先輩:「いい発想ね、ダイスケくん。1つの正解を探すより、役割の違う工夫の組み合わせ。それが、現場で答えを作るってことよ」
そして、ついにダイスケは一つの答えにたどり着いた。
"受け止める"と"逃がす"。2つの工夫を組み合わせて、街を守る——。
一つの大きな敵を、一撃で倒すのではない。役割の違う工夫を組み合わせて、街全体で水を受け止める。
それが、ダイスケの導き出した"最適解"だった。
こうしてダイスケは、敵(原因)を見つけ出し、攻略法へとたどり着いたのであった。
クエスト③の学び 設計に「絶対の正解」はない。 あるのは「いろいろな条件のバランスを取った最適解」だけ。 そして、最適解は一人では見つからない。 先輩の知恵、過去の経験、現場のデータ——あらゆるヒントを組み合わせて、自分なりの答えを作っていく。 そこに、設計という仕事の難しさと、誰にも真似できない面白さがある。
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【今回の学びのまとめ】 ・ 建設コンサルタントは「街の参謀」。図面を引くだけでなく、課題解決の作戦を考える仕事 ・ 現場を自分の目で確かめることが、すべての出発点 ・ 問題の原因はひとつじゃない。複数の要因を整理する力が必要 ・ 設計に「絶対の正解」はない。いろいろな条件のバランスを取った最適解を導く
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▶ 次回予告:成長・やりがい編
苦労して作り上げた最適解を手に、ダイスケは課長のデスクへ向かう。
「課長、見てください! 設計案、できました!」
意気揚々と差し出した案。だが——、ダイスケの戦いは、ここからが本番だった。
上司の鋭いフィードバック、施工条件という名の壁、関係者との連携。 "たたき台"はいかにして、本物の「街を守る盾」へと姿を変えていくのか。
次回、【成長・やりがい編】へ続く——お楽しみに!
