皆さんは「システム建築」という言葉を知っていますか?
一般的な建築工法と比べて「安定した品質」「短工期」「低コスト」を実現できるというメリットがあり、主に倉庫や工場など産業用建築物の建築分野で広く採用されています。
今回、システム建築の分野で国内に先駆けて導入し、加えて独自の付加価値を追求することによって国内外の著名デザイン賞を受賞するなどの成果を出しているモデルケースをご紹介します。
システム建築ならではのメリットや魅力についてぜひ、この機会に理解を深めてください。
【お話を伺ったのは・・・】
●川田工業株式会社
川田テクノロジーズ(東証プライム上場)を持株会社とする、川田グループの基幹事業会社として、創業104年の歴史を誇ります。
「橋梁」「鉄構」「建築」の各事業において設計や製作、据付施工や販売まで一貫して対応。
特に吊橋として世界最大級の支間長を誇る「明石海峡大橋」や「レインボーブリッジ」などの大型鋼製橋梁や、「渋谷ヒカリエ」「東京ミッドタウン」「東京スカイツリー©」など超高層ビルや建築物を多数手がけてきた実績があります。
システム建築の分野でも2000年代初期から業界に先駆けて導入して、これまで大型倉庫や工場などの建築を多数手がけています。
システム建築とは?
システム建築は一般的な建築工法と違い、建物を構成する鉄骨・屋根・外壁などの標準化を進めることによって【設計・製作・施工の各プロセスをシステム化】していることが最大の特徴です。
わかりやすく説明すると、完全に規格化された部材を工場で製作する「プレハブ工法」と、全て現場で組み上げる「在来工法」の中間的な位置づけとなる工法、それがシステム建築です。
システム建築を導入することによって「安定した品質」「短工期」「低コスト」を実現することができ、特に大規模倉庫や工場などの産業用建築物においてそのメリットを強く発揮することができます。
ポイント①大空間:この画像の違和感に気づきますか?→「柱がない空間」を実現するための工夫とは
皆さん、この画像を見て何か「違和感」を覚えませんか?
・・・その違和感、もしかして「柱の存在」ではないでしょうか。
普通、これだけの大空間を持つ建築物であれば、柱が等間隔で数多く存在しているはずです。
しかしこの画像を見る限り、皆さんが想像する以上に柱が少なく感じられるはず。
その理由にこそ、システム建築ならではの特徴が表れています。
特に川田工業のシステム建築の場合、独自技術を進化させることによって、レイアウト自由な大空間を実現しました。
具体的には、自立できる強度を誇る壁材と、重ね継手が可能な「Z形胴縁」を組み合わせることによって間柱をなくしたこと。加えて合理的な設計により鉄骨重量を軽減することで、最大60mの間に柱が無い空間を生み出すことが可能です。
ポイント②デザイン性: 「この建物はシステム建築?」グッドデザイン賞事例をご紹介
現在、同社が注力しているのが「プラスアルファの付加価値を組み合わせた倉庫の提案」だといいます。
ここ数年、デザイン性や倉庫内での機能性などを重視した要望が増えているそうで、従来の無機質な倉庫ではなく、自社ブランディングの向上や従業員の満足度・作業効率アップにつながるような『次世代型の倉庫』を提供する必要があるとのこと。
同社では設計事務所と密接に連携することによって、【他にはない独自デザインによる倉庫】を企画設計・施工しています。
そこで皆さんに質問です!
Q1:この倉庫はシステム建築でしょうか?
A:YES!
こちらの画像は、株式会社アイダ設計の茨城プレカット工場。
画像を見てもらえればわかりますが、明らかに一般的な倉庫工場とは外観デザインが異なります。特にこだわったのは建物外部に張り出すように設置された「見学用通路」です。
「実際にどのような工程で木造住宅が製造されているのか?」多くの人にわかりやすく理解してもらえるように見学用通路を設置しましたが、それが見た目でもアピールできるようにあえて外に通路を張り出す設計にしています。
こちらの建築物、特徴あるデザインが高く評価されて『※2020年度グッドデザイン賞 「産業のための建築・空間・インテリア」部門 受賞』)をはじめ、国内外の著名な賞に名を連ねています。
※©JDP GOOD DESIGN AWARD
※©JDP GOOD DESIGN AWARD
Q2:この倉庫はシステム建築でしょうか?
A:YES!
こちらの画像は株式会社ミロクのミロク日章工場。
企業カラーで統一された外観は、同社の事業だけでなく仁淀川の澄んだ青を想起させるものとなっており未来のアイデンティティを視覚化。
「 Wonder Global Awards2025 SILVER賞」 を始め多くの国際的かつ栄誉ある賞を受賞しています。
企業カラーで統一された外観は、同社の事業だけでなく仁淀川の澄んだ青を想起させるものとなっており未来のアイデンティティを視覚化。
「 Wonder Global Awards2025 SILVER賞」 を始め多くの国際的かつ栄誉ある賞を受賞しています。
ポイント③社会的需要: 低コスト・短工期が求められる背景と川田工業の取り組み
システム建築が今、とても注目を集めています。
システム建築が今、とても注目を集めています。
その背景には昨今、慢性的な人手不足や資材・物価高騰などにより、大型建築物の建設計画がスムーズに実行に移せないケースが増加していることにあります。
加えて近年、首都圏や大都市圏の高速道路周辺に続々と大規模倉庫が建設されており、今後さらなるニーズ拡大が見込まれることから、おのずと低コスト&短納期で建築できる「システム建築」に対する注目度も高まっています。
川田工業がシステム建築を導入したのは、2001年ごろのこと。業界内ではいち早く取り入れたことによって、これまで四半世紀にわたって様々な技術開発に注力してきたことで、日本の建築ニーズに合わせた最適なシステム建築工法を築き上げてきたそうです。
川田工業ならではのシステム建築の強み、それは設計から施工まで一貫して行う『One stopシステム建築』にあります。
建築計画のプランニングから竣工後のアフターサービスまで一貫して対応することで、高品質・短納期かつコストパフォーマンスに優れた倉庫や工場を施工できるため、取引先のほとんどからリピート発注があるそうです。
そして『One stopシステム建築』の最大のメリットが、「設計自由度の高さ」にあります。
システム建築のベースとなる構造計算や基本設計はマニュアル化されていますが、お客様のニーズに合わせてセミオーダー形式でカスタマイズ設計できる余地が残されています。
レイアウトの自由度が高まるため、よりお客様の希望に寄り添った設計施工が可能になることも既存取引先から高く評価されています。
若手社員の視点: システム建築に興味を持った理由
最後に新卒入社2年目で現在、システム建築部門の設計者として活躍している若手社員に、システム建築に興味を持った理由について聞いてみました。
Kさん
「システム建築に興味を持った最大の理由、それは大規模なS造建築がメインである点です。スケールの大きな倉庫や工場などの建築物の設計に携わることで、完成した時の達成感が大きいと思いました。
加えて川田工業の場合、他社のシステム建築と比べてある程度自由度を持った設計が可能である点も魅力だったことから、ここなら貴重な経験ができると思って入社を決めました」
今後ますますシステム建築に対する注目やニーズが高まる中、システム建築の設計や施工管理にチャレンジすることは大いに意義がありそうです。
