安心を、見えるかたちに 正木牧場が挑む、「JFS-C規格」と食品安全への取り組み

株

株式会社正木牧場

2026/10/01

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私たちが普段、何気なく口にしているおいしいスイーツ。華やかな見た目や豊かな味わいに目を奪われがちですが、その裏側には安全・安心を守るためのたゆまぬ努力があります。

では、安全性という「目に見えない価値」をどうやって証明すればいいのでしょうか。

今回は、食品安全の国際的な基準に対応した「JFS-C規格」を取得し、安全性の向上に取り組む【株式会社正木牧場】でお話をうかがいました。



大阪本社品質管理部
常務取締役 山下祐樹 氏

機械、食品業界で品質管理を中心に購買や製造管理を経験。JFS-C規格の認証取得では食品安全チームの責任者として、マニュアル整備や現場管理、認証機関への対応を統括し、取得を中心となって推進しました。


●「目に見えない安全性」を可視化する重要性

私たちは、全国のホテルや外食産業に向けて、冷凍ケーキを製造・販売しています。多くのお客様に商品を届ける企業として、以前から「おいしさや見た目」と同等、あるいはそれ以上に食の安全を重視していました。さらに、社会全体で食品安全への意識が高まり続ける中、自社でも衛生管理や品質管理の水準をさらに高める必要があると感じていました。

大きな転機となったのは、コロナ禍です。工場を十分に稼働できない時期を、社長は将来に向けた投資の期間と捉えました。この時間を活用して、工場の衛生管理体制を見直し、会社全体の品質を底上げに取り組むことになりました。






●安全への取り組みを証明する第三者審査

安全性というものは、自分たちが「安全に取り組んでいる」と伝えるだけでは、十分に示すことができません。客観的な基準によって証明してこそ、お客様や取引先の安心につながります。

日本では現在、原則としてすべての食品事業者に「HACCPに沿った衛生管理」が求められています。

・HACCPとは
原材料の受け入れから製造・出荷までの工程で、食中毒や異物混入などのリスクを見つけ、特に注意が必要な工程を継続して管理する衛生管理の仕組みです。

ただし、食品の安全を守るには、製造工程の管理だけでなく、工場の衛生環境や社員教育、管理体制、記録、継続的な改善など、会社全体で取り組むことも欠かせません。こうした幅広い取り組みについて基準を定め、第三者が審査する仕組みの一つが「JFS-C規格」です。

・JFS-C規格とは
HACCPによる製造工程の管理に加えて、工場を清潔に保つことや、社員への教育、役割分担、記録、見直しまで、会社全体で食品の安全を守るための、国際的にも認められた規格です。JFS規格には段階があり、JFS-BからJFS-Cへとステップアップできます。

外部の認証機関が工場を訪れ、必要なルールや管理体制が整っているか、それらが実際の現場で守られているかを確認します。基準を満たしていると認められた事業者には、認証が与えられます。




●知恵と運用で挑んだJFS-C規格へのステップアップ

当社はコロナ禍をきっかけに、現場中心の管理を行う「JFS-B規格」を取得しました。その後JFS-B規格の運用が従業員に浸透したのを機に「JFS-C 規格」へステップアップしました。

JFS-C規格の認証には、要求事項の数が大幅に増え、現場の枠を超えた会社全体での取り組みが求められます。特に苦労したのは、古い建物の中で、設備設置などハード面での安全管理をどのように実現するかという点でした。部屋の増改築が難しかったため、ハード面の不足はソフト面(運用ルール)の徹底で補うことにしました。

まず、エリアごとの入室ルールや移動ルートを明確に定め、原材料や製品が交差して汚染されるリスクに対応。さらに「清潔区域」と「準清潔区域」の境界を厳格に区分し、エリアをまたぐ入室時には、アルコール消毒や専用靴への履き替えを徹底しました。




社員の理解を得ることも、欠かせない取り組みの一つでしたね。たとえば、休憩やトイレに行く際は、ユニフォームから私服に着替えるルールを設けたのですが、当初は手間が増えるため、反対意見もありました。でも、「働く側にとって面倒なことが、購入するお客様にとっての安心につながる」と繰り返し伝え、お客様の視点へと意識を切り替えてもらうことで、少しずつ理解が広がっていきました。





●認証取得が変えた、現場の意識と会社の信頼

JFS-C規格の取得は、単に「認証という看板を得た」だけにとどまらず、会社の体質そのものを大きく変える契機となりました。

社内の衛生・管理基準が統一されたことで、誰が教えても同じ基準を伝えられるようになり、組織として教育を進めやすくなりました。また、現場からは自発的な改善提案が次々と上がるようになり、検温忘れを防ぐ「非接触スタンド型検温器」の導入や、冬場の洗い残しを防ぐ「サニタリールームの温水化」などが実現。問題があればすぐに改善する風土が根付いてきたと感じています。

こうした取り組みに対し、工場を見学されたお客様からは、「以前より衛生管理が大きく改善されている」「安心して商品を取り扱える」といった声が寄せられ、営業担当者も、自信を持って工場や商品を案内できるようになりました。

認証取得への取り組みを始める前と比べ、売上は約2倍に伸び、従業員の労働時間も短縮されています。






●未来の食品業界を担う皆さんへ

大学や専門学校の授業で学ぶ「食品安全」は、覚えることが多くて難しく、少し退屈に感じてしまうこともあるかもしれません。しかし、将来どんな形で食品業界に関わるとしても、これは絶対に避けては通れない大切な知識です。

食品を扱う仕事は、何よりも「人の口に入るもの、つまり命に関わるものを扱う」という、とても責任の重い仕事です。ほんの少しの知識不足や間違った思い込みが、最悪の場合、お客様の健康を脅かしたり、命を奪ったりしてしまう危険があるからです。

「安心・安全」と「おいしさ」を両立させることは、特別なことではなく、私たちがこの社会で挑戦を続けるためのスタートライン。世界基準の厳しいルールを守りながら、高い意識を持って働く環境は、皆さんを一回りも二回りも大きく成長させてくれると思います。

食品は、人を笑顔にできる素晴らしい業界です。皆さんが、責任の重さを「誇り」に変えて、確かな知識とともに未来の食を支えるプロフェッショナルへと成長されることを、心から応援しています。



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マサキボクジョウ

株式会社正木牧場

本社:大阪府大阪市生野区鶴橋3丁目5番46号

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