2ヶ月集中して働き、1ヶ月まるごと休む。船上調理ならではの仕事サイクル
船の上で働く調理師の大きな特徴は、現場によって異なりますが、たとえば「2ヶ月働き、1ヶ月まるごと休む」という独自の働き方ができることです。
乗船中は調理や衛生管理に集中し、休暇に入れば長期旅行も趣味も存分に楽しめる。そんな働き方が叶います。
さらに、乗船期間はずっと休みなし、というわけではありません。
食料や燃料の調達のため、船は10日前後のサイクルで着岸します。そのタイミングでは休みがもらえる日もあり、港に着いていれば散歩や観光、温泉など自由に過ごすことができます。
作業船がある現場は北海道から沖縄まで全国にあります。
北海道・石狩の現場では着岸している期間に札幌へ足を伸ばしたり、沖縄では仕事の合間に海辺でリフレッシュしたり、働きながら旅をしているような感覚すら味わえます。
また、自宅を出てから帰宅するまでの日数が給与としてカウントされるため、移動時間も無駄になりません。
水道光熱費・食費もかからず、生活コストを抑えながら働けるため、自然と貯金しやすいのも魅力です。
“しっかり働き、しっかり休む”。このメリハリのある働き方は、船上で働く調理師ならではの特権です。
船上調理師の一日の流れ
船上の調理は、街の飲食店とはまったく違うスタイルです。
提供するのは朝・昼・夜の3食。相手は入れ替わるお客様ではなく、毎日同じ船で働く乗組員です。
● 朝
朝食は提供2時間前から準備開始。7時提供なら、仕込みは5時頃から始まります。食事が終わると片付け、次の食事の仕込みに入ります。
● 昼
昼食も提供の2時間前から準備。現場によっては約30名分を作ります。切りもの、加熱、味付けなどをメンバーで分担しながら仕上げていきます。
● 夜
夕食は17時 〜 18時から提供のことが多いです。夕食後、片付けが終わればその日の業務は終了です。
休憩時間や仕事後は基本的に自由で、自分の部屋でゲームをしたり、本を読んだり、動画を見たりと、それぞれが思い思いの時間を過ごしています。
限られた空間ではありますが、自分のペースでしっかり休める環境が整っています。
休憩時間や仕事後は基本的に自由で、自分の部屋でゲームをしたり、本を読んだり、動画を見たりと、それぞれが思い思いの時間を過ごしています。
限られた空間ではありますが、自分のペースでしっかり休める環境が整っています。
街の飲食店では同じ料理を安定して提供することが求められる一方、船上調理師は、変わらないお客さんに、毎日飽きない食事を届けることが使命です。
天候、作業量、体調の違いによって、乗組員の食欲や好みも微妙に変わります。
「今日はあっさりめに」「今日はガッツリ系が喜ばれそうだ」そんな“読み取る力”が自然と磨かれていきます。
また、固定メニューを作り続けるのではなく、和食・洋食・中華など幅広いジャンルをバランスよく作れるようになるのも船上調理の特徴。
その分、調理師としての選択肢と成長の幅が大きく広がっていきます。
“料理人としての総合力”が伸びる環境。あるもので工夫する、船上ならではの成長
船上調理が街の厨房と違う最大の理由は、調達が限られていること。
次の調達日まで必要な食材を積み込み、前半は司厨長がつくった献立の計画通りに進めますが、後半になるほど食材の減り方や状態に合わせて工夫が求められます。
だからこそ、「あるもので、どう美味しく作るか」という料理人としての基礎力・応用力が確実に鍛えられます。
ハンバーガーをバンズから手づくりしたり、麺を粉から作ろうと研究したり、そんな挑戦も日常の一部です。
船上では調理器具やスペースにも限りがあるため、「どうすればこの道具で同じクオリティを出せるか」と考えながら調理する習慣がつき、技術の引き出しがどんどん増えていきます。
さらに、乗組員という固定のお客さんに向き合うことで、「求められる料理を作る力」「相手に合わせる力」「状況に応じて判断する力」が磨かれ、どんな現場でも必要とされる“料理人としての総合力”が身につきます。
学生のみなさんが想像する以上に、船の上は成長の機会に満ちています。
街の飲食店とは違う環境だからこそ身につくスキルと経験があり、それがあなたの将来の強みになるはずです。
