さとゆめには、自然豊かな地域で、地元の食材を最大限に活かした料理を提供するホテルがあります。それが、HOTEL MIYAM(長野県 小海町)と、NIPPONIA小菅 源流の村(山梨県 小菅村)。腕を振るうのは、どちらも都心の一流ホテルやレストランで経験を積んだ料理長です。都心で培った確かな技を、地元のとれたて食材に注ぎ、訪れた人がその土地の魅力を料理から感じられるよう、もてなしています。そんな二人の料理長に、それぞれのホテルで提供する料理へのこだわりを聞きました。
HOTEL MIYAM|手を加えすぎない、素材そのものの味を
HOTEL MIYAM 料理長/宮下祐二 東京調理製菓専門学校を卒業後、19歳でフランス料理の道へ。東京の「ラシェット・ブランシュ」「コート・ドール」、そしてパリのレストランで、20年近く腕を磨いてきた。子育てを機に地元へ戻り、松原湖のほとりに建つHOTEL MIYAMで料理長を務める。
私が何より大切にしているのは、素材そのものを主役にすることです。料理人は、素材を活かす存在。自分よりも素材が前に出るのが、私の理想です。だから、あれこれ重ねず、手を加えすぎない。ひと口食べたときに、「何を食べたか」がまっすぐ伝わる一皿を目指しています。
東京にいた頃は、「作りたい料理があって、それに合う食材を探す」のが当たり前でした。けれど、この土地に来て、考え方が変わりました。「これしかない」ではなく、「これだけあれば十分」と思えるようになったんです。限られた食材と向き合うほど、発想は磨かれていきます。今振り返ると、あの頃の自分は少し贅沢だったのかもしれません。
使う食材は、どれもこの土地の恵みです。冬の保存食として親しまれてきた高原花豆は、モンブランのようにしてデザートに。近くの養魚場から届くヤマメやイワナ、信州サーモン。信頼できる猟師から仕入れる、鹿やイノシシのジビエ。季節が移れば、旬の食材とともに、メニューも少しずつ入れ替わっていきます。食材が変われば、料理も自然と変わる。その積み重ねが、HOTEL MIYAMの味をつくっています。
NIPPONIA小菅 源流の村|その土地の自然を、まるごと一皿に
NIPPONIA小菅 源流の村 料理長/大和幸義 高校卒業後、料理の道へ。帝国ホテルで24年にわたり研鑽を積み、その後も東京や静岡のホテルで料理長を歴任。より食材に近い環境を求め、多摩川源流の村・小菅へ。現在、NIPPONIA小菅 源流の村で料理長を務める。
私が目指しているのは、その土地の自然を、そのまま一皿にうつすような料理です。たとえば、清流に暮らすヤマメ。これに合わせるのは、同じ流れのそばに育つクレソンやセリ、道端のヨモギやフキです。同じ場所で育ったもの同士は、不思議とよく合う。作りたい料理があって食材を探すのではなく、今いちばんおいしい素材を見て、そこから料理を考えていく。それが、私のやり方です。
ベースにあるのはフランス料理ですが、そこに和の出汁や食材を掛け合わせます。フレンチでも和食でもない、この村ならではの一皿を目指しています。川魚なら、大きく育てた大イワナや富士の介。ジビエは、罠でとらえてその場ですぐに処理するので、驚くほど臭みが出ません。春の山菜、秋の根菜やきのこ。半径50キロほどの身近な恵みだけで、季節ごとに献立は移ろっていきます。
目の前のお客様がどんな方であっても、私にできるのは、心を尽くした一皿をお出しすることです。この村で食材を育ててくれた生産者の思いを汲み取り、丁寧に扱い、心を込めて盛り付ける。その気持ちだけは、ずっと変わりません。
二人に共通する、素材への想い
拠点も、年齢も違う二人ですが、その言葉は不思議と重なります。素材を活かし、その良さをまっすぐ届けること。
規模の小さなホテルでは、料理の感想が直接返ってきます。「川魚が、こんなに美味しいなんて」。そんな驚きの声が、日々の励みになります。食材が育つ現場に足を運び、命のあり方から学べるのも、地域のホテルならでは。ここには、素材と向き合い、腕を磨ける環境があります。あなたも、地域の恵みを一皿に変える仕事を、始めてみませんか。
